「英語・中国語の文章翻訳を依頼したいけど、翻訳料金の相場っていくらぐらいなんだろう?」と思われたことはありませんか?
今回はいくつかのデータを基に、テキスト翻訳料金の相場をまとめてみました。
翻訳料金は言語などによって変わってきますが、今回は最もボリュームが多い英語、特に日英翻訳(和文英訳)料金を基準として考えたいと思います。
なお、翻訳料金を左右する要素についてはぜひ以下の記事もご覧ください。
1.日本翻訳連盟「翻訳料金の目安」
翻訳料金については、各社のWebサイト等で記載されているものもありますが、
一般社団法人日本翻訳連盟が目安として提示されている金額がまず一つあります。
表1:日本翻訳連盟「翻訳料金(クライアント企業の翻訳発注価格)の目安」
文書の種類・分野 | 日英翻訳:和文→英訳(税別) |
コンピューターマニュアル | 20円 |
一般科学・工業技術 | 21円 |
金融 | 25円 |
経営管理・財務・契約書 | 25円 |
医学・医療・薬学 | 30円 |
特許明細書 | 30円 |
出典:日本翻訳連盟サイト
翻訳会社の料金表をご覧になったことがある場合、一般的な文章の翻訳をお考えの方にとって、上記表は少々高く感じるかもしれません。
それもそのはず、このリストにある翻訳は専門分野の翻訳になるためです。
語学力だけでなく、当該分野に関する知識も要求されるため、当然一般的な翻訳より料金は高くなります。
2.『2013年度翻訳白書』
少し以前の調査になってしまいますが、一般的なテキストの翻訳料金を知るためには、
同じく日本翻訳連盟が発行している『翻訳白書』も1つの参考になります。
グラフ1:「日英翻訳料金の原文基準の価格帯(日本語1文字換算)」
出典:日本翻訳連盟『2013年度翻訳白書』(20年度 n=61,25年度 n=106)
これを見ると、「11~13円未満」が23.6%・「13~15円未満」が21.7%と
11円~15円未満で45.3%と半分近くを占めます。
この表の調査は一般テキスト翻訳に限定したものではないため、専門文書翻訳の料金も含むものになりますが、一つの参考になりそうです。
なお、この金額はネイティブチェック(訳文校正)を含めた金額になります。
3.通訳翻訳ジャーナル(2017年夏号)
日本翻訳連盟とは別のデータも提示してみたいと思います。
なお、上記の表と違いこちらは翻訳者の方が翻訳会社から受け取る翻訳料金となります。
通常、クライアント企業は以下に校正料などが加算されたものが支払額となります。
表2:「和文英訳・原文1文字あたりの平均的な料金」(翻訳者回答・n=81)
翻訳料金 | 人数 |
3円未満 | 3人 |
3~4円 | 2人 |
5~6円 | 20人 |
7~8円 | 15人 |
9~10円 | 15人 |
11~12円 | 14人 |
13~14円 | 7人 |
15~16円 | 2人 |
17円以上 | 3人 |
出典:「翻訳通訳ジャーナル」2017年夏号
上記の表とは別に、翻訳会社の側に翻訳者への支払い料金を聞いたデータもあります
表3:「翻訳会社に聞く・和文英訳・原文1文字あたりの料金」(翻訳会社回答・n=75)
翻訳料金 | 人数 |
5円未満 | 5社 |
5~6円 | 19社 |
7~8円 | 25社 |
9~10円 | 15社 |
11~12円 | 3社 |
13~14円 | 1社 |
15~16円 | 3社 |
17~18円 | 1社 |
19円以上 | 3社 |
出典:「翻訳通訳ジャーナル」2017年夏号
こうして双方の調査を突き合わせてみてみると5円~10円/文字での翻訳が多数を占める、ということがわかります。
4.校正(ネイティブチェック)の有無には要注意
さて、翻訳料金の構成は以下の通りです。
上記の表2,3では校正料金などは入っていません。
翻訳会社などのサイトでもよく料金表が掲示されていますが、
「校正(ネイティブチェック)を含んだ価格か否か?」
という点については注意されるとよいかもしれません。
校正料金は翻訳会社にもよるかと思いますが、おおむね翻訳料金の半分前後と見てよいのではないかと思います。
以前の記事にも書きましたが、翻訳料金はさまざまな要素によって上下します。
翻訳料金はエージェントたる翻訳会社と翻訳者の方の綱引きによって決まる部分もあります。
しかし、専門分野に限らず一般テキストの翻訳に限っても、値段と品質はあるていど比例すると考えてよいと思います。
ここら辺は工業製品などと違い、”人間”が行うことでもあり「他社と比較し10倍違う」という場合は何か理由があるかもしれません。
翻訳の見積りや価格を調べる際、上記のようなデータも参考にして頂ければ幸いです。