映像翻訳とは?(2)|映像翻訳の世界

前回、映像翻訳について俯瞰してみてみました。
今回は具体的に映像翻訳・字幕制作でどんな作業を行うか、弊社のケースを基に詳しく書いてみます。

たくさんの制作ステップ

映像翻訳は様々な付帯業務を伴う翻訳です。全ての工程を拾い出してみると
デジタイズ→ヒアリング→翻訳→校正→スポッティング→字幕挿入→仮ミックス→完パケ
といった多くのステップを行う必要があります。

※参考:テキスト翻訳と映像翻訳の違い

 テキスト翻訳 映像翻訳
 1.翻訳  1.デジタイズ
 2.校正 2.スポッティング
3.最終チェック
(媒体への書き出しと確認)
 3.ヒアリング(原音聞き起こし)
    4.翻訳
   5.校正
   6.字幕挿入(字幕データ制作)
   7.仮ミックス
   8.完パケ

一つ一つ詳しく説明してみます。

デジタイズ

元素材がテープやDVD等のメディア場合、パソコン上の字幕制作ソフトで映像を扱えるようにするためデジタル形式への変換(デジタイズ)を行います。
※ソフトによっては扱えるファイル形式に制限がある場合もあり、その際はデジタルファイル(mp4)→デジタルファイル(mp1)で変換をする場合もあります。

ヒアリング

台本がない映像作品の場合、元素材の原音をヒアリングし聞き起こします。
外国語→日本語の映像翻訳のケースでは、外国語をしっかり聞き取る必要があります。そのため、ネイディブヒアリングライターが必要になります。

翻訳

聞き起こしたテキストを翻訳します。翻訳にあたっては可読性を確保するため字幕制作のルールに準拠した訳文を制作します。

校正

訳文が正しいかどうか、別の翻訳者がチェックします。このとき放送ルール等に準拠しているか、事実関係に間違いがないか、といった点でも確認を行います(裏取り)。

スポッティング(ハコ割り)

それぞれの字幕テキストが表示されはじめるタイミング(“In点”)と、表示し終わるタイミング(“Out点”)をそれぞれ設定します。In点-Out点に挟まれた字幕が収まる時間を”ハコ”と表することもあり「ハコ割り」とも呼ばれます。
スポッティングは基本的に専用の字幕制作ソフトを用いて設定していきます。

字幕挿入

設定したそれぞれの”ハコ”に、字幕テキストを入力していきます。元映像にテロップがある場合などはそれらを避けるために字幕位置を調整します。

仮ミックス

制作した字幕データと映像を一度合わせ、お客さまにご確認頂くための仮ミックスを作成します。

完パケ

最後は完パケです。元素材に字幕を入れ、放映できるフォーマットに仕上げます。

単に映像翻訳、字幕制作といっても実に多くのステップがあることがお分かりになるかと思います。
一般的に、お客様の側でこうしたたくさんの作業をゼロから習熟し、実施するのは大変です。
そのためインジェスターのような映像翻訳会社がご依頼を頂けることになります。

コーディネーションが重要

さて、現実にはこうした多くの作業を非常に短い納期に迫られながら、同時並行して行う必要があります。
重要なのはコーディネーション力。経験がモノをいう世界でもあります。

・短納期なのに優秀な翻訳者さまが皆忙しく、いま依頼を受けてもらえない!
・元素材にテロップが多いので字幕位置を細かく調整する必要がある!
・日本にはない放送形式での完パケをご要望されている!

現場では日々そうした悲鳴?が聞こえてきます。
案件ごとに毎回異なるチャレンジ。そうしたことに一つ一つ細かく対応しなければなりません。
そのため、インジェスターでは「全員野球」が基本。
スタッフが様々な工程を多能工的に柔軟に受け持つことで、短納期かつ求められるクオリティを実現しています。

「翻訳」というと、昨今は”機械翻訳”のイメージが強いかもしれません。オートマチックに成果物が出てくることを想像されがちになってきました。
映像翻訳の分野でも機械化が進みつつある工程もありますが、全体としてみるとまだまだ人間によるコーディネーションが求められる世界だといえるでしょう。

映像翻訳の料金相場はさまざま

映像翻訳に関しては料金相場を聞かれることもあるのですが、「パッと一概に申し上げるのが難しい」というのが正直なところです。

上記で説明したようなステップは、必ずしも全てのお客さまが全行程を必要とするわけではありません。

お客さまや案件により、既存の台本テキストを翻訳するだけの場合もあれば、
字幕データのみの納品で映像とのミックスや完パケは行わないこともあります。
元となる素材も、翻訳後のパッケージも多様。
そうした形で、クライアントさまのご要望はさまざまなものとなります。

こうした事情によって、話がやや複雑になるのはお見積り。

一般的なテキスト翻訳であれば「文字数×単価」で料金が出ます。
ですが、映像翻訳の場合は上記のような形で、必要とされる工程によりお見積額も全く異なってきます。
「時間×単価」といった形で、概算での字幕料金設定の仕方もありますが、多くの場合はお客さまに直接お話を聞く必要が出てきます。

インジェスターではそのため、映像翻訳のお見積提示にあたってはまず最初に綿密なコンサルティングを行うことを大切にしています。

「NOと言わないインジェスター」
映像翻訳ならおまかせください。

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